Windows 11にアップグレードしたばかりのとき、以前の環境で当たり前に使っていた機能が見当たらないと少し戸惑ってしまうものです。私も新しいパソコンでスキャナーを使おうとしたところ、なぜかFax and Scanの姿がなくて焦りました。今回は、そんな疑問や不安を解消するために、Windows Fax and Scanを利用可能にする方法や、代替となるWindows Scanアプリ、さらにはちょっとしたコツなどをまとめてみました。
Windows 11でFax and Scanが見つからない理由
Windows Fax and Scanは、もともとWindows Vista以降で標準的に提供されてきたツールの一つです。しかし、Windows 11では一部の環境で標準搭載から外れている場合があり、オプション機能の一覧にすら見当たらないことがあります。
開発側の意図
Microsoftは近年、Windows Scanアプリを推奨しています。Windows Fax and Scanに慣れ親しんできたユーザーが多い一方で、デジタルファクスや複合機による運用が一般的になり、さらにはペーパーレス化が進む現代において、従来のFax and Scanの重要度は下がっていると判断した可能性が指摘されています。
筆者の体験談
私は古めの複合プリンターを使い続けていて、FaxとScanの管理をまとめて行うツールとして昔から愛用していました。Windows 10までは簡単に見つかったFax and Scanですが、Windows 11の新規環境では見つからず、一瞬「え、どうしたらいいの?」と戸惑ったのをよく覚えています。結局は後述の方法で無事に使えるようになりましたが、慌てていろいろ調べたり、サポート情報を探し回ったりと大変でした。

意外と見落としがちなのが、Windowsの機能が標準インストールされない場合もあるという点です。簡単なコマンド操作で後から追加できるなんて最初は知りませんでした。
Fax and Scanを再インストールする方法
Windows 11でFax and Scanが見当たらない場合、最も確実なのはDISMコマンドを使って機能を追加する方法です。実は、Windows 11にもFax and Scanの機能は備わっており、ただオプションとして隠れているケースがあります。
DISMコマンドの手順
以下は管理者権限のコマンドプロンプト、もしくはWindows Terminalで実行する手順です。
コマンドを実行
実行するコマンドはこちらです。
Dism /Online /Add-Capability /CapabilityName:Print.Fax.Scan~~~~0.0.1.0
これを入力してEnterキーを押すと、インストールが開始されます。無事に処理が完了すると操作が成功した旨のメッセージが表示されます。もしエラーが出た場合は、管理者権限で実行できているかや、ネットワークが不安定でないかを確認してみてください。
動作確認
コマンドで追加が成功したあとは、スタートメニューやコントロールパネルから「Windows Fax and Scan」を探してみるのが一つの方法です。ただ、設定画面やWindowsの機能一覧に反映されるまでに時間がかかったり、何らかの理由で表示されないこともあります。その際は、WindowsキーとRキーを同時に押して「ファイル名を指定して実行」を開き、wfs.exeと入力して起動することも可能です。
インストール時の注意点
管理者権限を忘れずに
DISMコマンドを実行するには管理者権限が必要です。スタートボタンやタスクバーを右クリックして「Windows Terminal(管理者)」を選ぶ方法や、スタートメニュー検索でcmdと入力して「管理者として実行」を選ぶ方法などがあります。
再起動も視野に入れる
環境によってはFax and Scanがきちんと反映されるまでに時間がかかることがあります。念のためパソコンを再起動してみると、いつの間にかメニューに表示されていた、ということも珍しくありません。
Windows Scanアプリという代替手段
Windows Fax and Scanは多機能かつ古参のツールですが、MicrosoftはWindows 10以降の環境で「Windows Scan」というモダンアプリを推奨しています。スキャナー機能のみをシンプルに利用したい場合は、こちらを使ってみるのも手です。
Windows Scanアプリの特徴
軽快な動作
Windows Scanアプリは、Faxや電子メール送信といった機能を削ぎ落とし、シンプルにスキャンだけに特化しているため動作が軽いのが特徴です。
Windowsストアからの入手が簡単
Microsoft Storeを開き、「Windows Scan」で検索すると簡単にインストールできます。インターフェースも直感的なので、一度設定してしまえばすぐにスキャンを始められます。
Windows Fax and ScanとWindows Scanアプリの比較
それぞれの特徴をテーブルにしてまとめてみました。利用目的や環境によって、どちらを使うべきか考えてみるとよいでしょう。
| 項目 | Windows Fax and Scan | Windows Scanアプリ |
|---|---|---|
| 主な機能 | Fax送信・受信、スキャン、メール送付 | スキャンのみ |
| インストール方法 | DISMコマンドで機能追加 | Microsoft Storeから簡単インストール |
| 操作性 | 機能は豊富だがややレガシーなUI | モダンUIで直感的 |
| 推奨度 | Fax機能を活用したいなら必須 | Faxを使わずスキャンだけならこちら |
Faxを使わないならScanアプリでも十分
従来、Faxを使ってビジネスを行っていた頃の名残でWindows Fax and Scanを好んでいる人も多いかと思いますが、実際にはFaxを頻繁に使わないのであれば、Windows Scanアプリで十分というケースが大半かもしれません。

私の場合、スキャンした書類をPDFに保存してメールで送る程度の利用が多かったので、Windows Scanアプリのほうが結果的には扱いやすかったです。Fax機能が必要だったのは本当に一部だけでした。
Fax機能の今後とペーパーレス化の流れ
Windows Fax and Scanを必要としている理由の一つに「Faxによるやりとりがまだ残っている」という点があるかもしれません。特に、一部の業界では依然としてFaxが重要なコミュニケーション手段である場合もあります。
Faxの役割
業界別の利用状況
医療、建設、一部の官公庁などでは、セキュリティや書面送付の確実性などの理由でFaxが使われることがあります。メールやクラウドサービスが普及している今もなお、電話回線を経由したFaxを手放せない企業や組織も多いのです。
Faxサービスのクラウド化
最近では、インターネットを通じてFaxを送受信できる「eFax」などのサービスも登場しており、物理的なFax機が不要になるケースが増えています。こうしたクラウドサービスが広がると、Windows Fax and Scan自体の存在意義もさらに薄れていくかもしれません。
ペーパーレス化とWindows Fax and Scan
Windows Fax and Scanはスキャン機能を備えており、書類を電子化することでペーパーレス化に貢献してきました。ただ、Windows Scanアプリやその他のサードパーティソフトウェア、さらにはクラウドサービスの登場により、その役割はよりスマートな形に進化しつつあります。
使い慣れた環境のまま移行するコツ
Fax and Scanを長年使ってきた場合、新しいツールに乗り換えるのは抵抗を感じるかもしれません。そういうときは、同時併用期間を設けて慣れていくのがおすすめです。しばらくはFax and ScanとWindows Scanアプリの両方を使い比べ、利便性や使い勝手を確かめることで、不安なく移行できます。

私が使う複合プリンターにも一応Fax機能がついていますが、実際に稼働させた回数は年に数回だけです。私の場合、Windows Scanアプリで十分でしたが、それでも「もしもの時にFaxが必要かな」と思いFax and Scanは残してあります。
よくある質問とトラブルシューティング
Fax and Scanが動作しないとき
DISMコマンドを成功させても「Fax and Scanが開かない」「スキャン機が認識されない」という事象が発生することがあります。
デバイスドライバーの確認
スキャナーデバイスや複合機のドライバーがWindows 11に対応していない場合、Fax and Scanから認識されないことがあります。プリンターメーカーの公式サイトから最新のドライバーやユーティリティをダウンロードしてみてください。
Windows Updateの未適用
Windows Updateが中途半端な状態で止まっていると、必要なコンポーネントが正しく適用されずFax and Scanが使えないことがあります。最新の更新プログラムを適用したうえで再起動してみましょう。
Faxの送受信がうまくいかないとき
Fax機能を使おうとしたけれど、うまく送受信できないケースも報告されています。
電話回線の接続設定
昔ながらの電話回線を使う場合、モデムや複合機の設定が正しく行われていないとFax送受信に失敗します。特にIP電話回線や光回線を利用していると、Faxが使えない・使いにくいこともあります。
通信ログの確認
FaxとScanの画面右上にある「Faxビューア」で送受信ログを確認することができます。もしエラーコードが表示されている場合は、そのコードをネット検索すると解決策が見つかるかもしれません。
総合的なまとめ
Windows 11でWindows Fax and Scanが見当たらない場合、DISMコマンドで機能を追加するのが最も手早く確実な方法です。Fax機能をどうしても使いたいのであれば、表示されていなくても実際には機能そのものが残されているケースがあるため、まずはコマンドを試してみるとよいでしょう。一方で、スキャナー機能のみが必要で、Faxを使わない場合はWindows Scanアプリを利用するのも賢い選択です。
使い慣れたFax and Scanはある意味で「レガシー」な存在ですが、古い複合機や業務フローに慣れている場合には重宝します。今後クラウド型のサービスがさらに普及すれば、Faxという手段自体が減っていくかもしれませんが、まだまだ一部業界では現役の技術です。自分の環境とニーズに合わせてWindows Fax and Scanを導入するか、Windows Scanアプリに乗り換えるかを検討してみてください。

私自身、長年Fax and Scanに慣れ親しんでいて最初は戸惑いましたが、コマンド一発で解決できたのは驚きでした。トラブルも少なく、きちんと使えているので今でも安心してFax機能を維持しています。
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