北九州新門司と関西の間を結ぶ阪九フェリー(本社:北九州市)
日本初の長距離カーフェリー事業者でもあり、新日本海フェリー(本社:大阪市)や関釜フェリー(本社:下関市)、東京九州フェリー(本社:北九州市)と共にSHKライングループ構成企業の一員でもあります。
現在は、新門司~大阪泉大津航路と新門司~神戸航路の2航路を運航しており、九州~関西間の重要な物流・旅客移動手段のひとつとして利用されています。
阪九フェリー「いずみ」
今回ご紹介するのは、九州からの帰路で乗船した阪九フェリー「やまと」。
僚船「せっつ」と共に新門司~神戸航路で活躍している船舶になります。
阪九フェリー「やまと」
阪九フェリー『やまと』の新門司〜神戸航路を実際に利用した筆者が、1人用個室「デラックスシングル」やレストランのメニュー、無料送迎バスの利用方法を詳しくレポートします。
筆者自身、阪九フェリーに乗船するのは実に約7年ぶり。
しかも、今回ご紹介する「やまと」は2020年6月に就航した、同社では一番新しい船舶です。
さらに、新門司~神戸航路の乗船は今回が初なだけに、果たしてどんな船旅になるのか、乗船する前から楽しみにしておりました。
新門司からの「やまと」の旅。
どんな船旅になったのでしょうか。
阪九フェリー「せっつ/やまと」とは?
ここで、阪九フェリー「せっつ/やまと」について改めてご紹介しましょう。
同社の新門司~神戸航路に就航する「せっつ/やまと」は、先代の「やまと/つくし」の代替船として2018年に発注され、三菱重工業下関造船所で建造されました。
僚船「せっつ」が2020年03月10日に就航、その約3か月後の2020年06月30日に今回ご紹介する「やまと」が就航しました。
阪九フェリーで就航する船舶としては一番新しい船舶になります。(2025年11月1日時点)
船体スペックは以下の通りです。
巨大船(全長200メートル以上)規制ギリギリの大きさとなっており、瀬戸内海を航行するカーフェリーの中ではかなり大きい部類に入ります。
阪九フェリー「やまと」
【阪九フェリー「せっつ/やまと」 船体スペック】
- 全長:195.0m
- 全幅:29.6m
- 航海速力:23.5ノット
- 旅客定員:663名
- 車両搭載数:トラック277台、乗用車188台
阪九フェリー「やまと」デラックスシングル乗船記|新門司→神戸の旅【1日目】】
小倉駅から新門司港へのアクセス ~無料送迎バス~
やって来たのは、福岡県北九州市のJR小倉駅。
JR山陽新幹線、JR鹿児島線、北九州高速鉄道(北九州モノレール)が乗り入れる九州の玄関口で、山陽新幹線を含む全ての旅客列車が停車するターミナル駅でもあります。
小倉駅新幹線口へ移動し、西鉄バス北九州が運行する無料連絡バスで新門司港フェリーターミナルへ向かいます。
19時10分頃 新門司港第1フェリーターミナルに到着
30分程で新門司港フェリーターミナルに到着。
阪九フェリーの新門司港フェリーターミナルは、航路によって第1ターミナルと第2ターミナルに分かれており、今回乗船する新門司~神戸航路は第1ターミナルから出港します。
「東西文化の交通の結節点」をイメージた平城京の大極殿をモチーフにしているのが特徴です。
フェリーターミナルに到着後、3階の乗船口へ向かいます。
今回は事前にWEBにてオンライン決済を済ませており、e乗船券を発行済み。
チケットレスサービスが利用出来るため、フェリーターミナルでの乗船手続きが不要なのです。
19時15分 乗船・船内散策
19時15分、係員にe乗船券のQRコードを提示し乗船。
早速船内を散策します。
エントランス
エントランスは5デッキ~7デッキの3層吹き抜け構造となっており、門司港レトロをイメージした木目調のシックな内装とエレベータータワーがアクセントになっています。
中央にステージとテレビがあり、そのステージを取り囲む形で観覧用座席が配置されている構造は、同じSHKライングループに属する新日本海フェリー「らべんだあ」「あざれあ」や東京九州フェリー「はまゆう」「それいゆ」を彷彿させます。
天井照明(シャンデリア?)はこの様な形状になっています
何をイメージしているのでしょうか・・・。
船内各施設の営業時間を知らせるボードです。
3つある本四間連絡橋の通過時刻も掲示されています。
案内所(インフォメーション)・売店
案内所(インフォメーション)と売店は、5デッキ エントランス部にあります。
案内所(インフォメーション)の隣が売店となっており、飲食物はもちろんのこと、阪九フェリーオリジナルのふねこグッズや限定グッズ、福岡・大阪・神戸の人気のお菓子やお土産が販売されています。
翌朝の焼きたてパン、パイシュー、朝食のスープセット、サラダセットの予約も、こちらの売店で受け付けています。
自動販売機
自動販売機は、5デッキ~7デッキの各デッキに設置されています。
アルコール、ソフトドリンクの他、アイスクリーム、カップ麺を購入することが出来ます。
レストラン
レストランは6デッキにあります。
好きなものを取って会計するカフェテリア方式となっており、品揃えが豊富なのが阪九フェリーのレストランの特徴です。
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大浴場
大浴場は7デッキにあります。
露天風呂も完備しており、航海中の大海原が一望出来る、絶景のリラックススポットです。
共用スペース
6デッキと7デッキには共用スペースを完備。
特に7デッキの共用スペースは広く、船尾側はデッキを一望出来るなど、開放的な造りになっています。
その他
写真でご紹介は出来ませんが、船内にはこの他にも
- カラオケルーム
- ゲームコーナー
- キッズルーム
- 授乳室
- ペットルーム
を完備(いずれも5デッキ)。
家族連れやペット連れの方も安心して乗船出来る設計になっています。
簡単に共有部と船内設備をご紹介しましたが、長距離フェリーに必要な設備はひと通り揃っており、神戸港までの約12時間の船旅を快適に過ごせそうです。
19時40分 荷物整理など
ひと通り船内を見たところで、船室へ移動しましょう。
今回予約したのは、「デラックスシングル」という1人用の個室部屋。
上級客室の「ロイヤル」「スイート」と共に7デッキに配置されています。
部屋の鍵はe乗船券のQRコードをリーダーにかざして開けます。
ドアを開けると・・・シンプルながらも木目調の落ち着いた雰囲気の内装が目に入ります。
ベッド幅は80cm×200cm。
横幅が若干足りない気がしないでもありませんが、一人で寝るのには十分な大きさです。
壁にはハンガーとハンガー掛けが。
ハンガーは船内備品のため持ち帰り不可です。
部屋は個別空調となっています。
この日は少し暑かったということもあり、個別空調は大変助かりました。
液晶テレビは、ベッドの足元上に設置されています。
テーブルには、テレビのリモコンとケトル、コップ、お茶、アメニティ類が置かれていました。
テーブルの横には、洗面台と鏡が設置。
1人用個室でトイレに行かずに洗顔、身支度が出来るのはありがたいですね。
このタイプの個室は、競合する名門大洋フェリーにも設定されていますが、1人で使用するのに十分な設備を有しており、居心地の良い客室だと感じました。
20時00分 新門司港出港
部屋で荷物を整理したところで、新門司港出港時刻になりました。
7デッキ後方のオープンデッキで出港の様子を見届けます。
20時00分、新門司港を出港。
神戸港(六甲アイランド)まで、12時間30分の船旅の始まりです。
出航後、暫くすると、左手に東京九州フェリーのフェリーターミナルが。
そして、右手遠方には北九州空港が見えます。
出航を見届けたところで、船内へ戻ります。
20時30分 ミニライブ
この日は、20時30分より5デッキエントランスのホールにてミニライブがありました。
多くの乗客がミニライブを堪能。
私も生の演奏と歌を楽しませていただきました。
21時00分 夕食
乗船直後のレストランが大混雑であったため、夕食はこの時間になりました。
先述の通り、レストランは6デッキにあります。
阪九フェリーのレストランは、好きなものを取って会計するカフェテリア方式。
品揃えが豊富で、どれにしようかと迷ってしまいますが、今回はこちらにしました。
門司港名物の焼きカレーに、鶏のから揚げ、サラダ、冷奴です。
焼きカレーは、中にミートボールが入っていて、これが中々のアクセントになっていて、大変美味しゅうございました。
21時30分の閉店直前まで、レストランの食事を楽しみます。
23時00分頃 就寝
夕食を終え部屋に戻り、テレビを見ながらのんびりと過ごします。
この日は少し疲れていたということもあり、23時00分頃、早めに就寝しました。
阪九フェリー「やまと」デラックスシングル乗船記|新門司→神戸の旅【2日目】
05時40分 起床
おはようございます。
目を覚まし、船内のデジタル時計を見ると、時刻表示が05時40分となっていました。
あと少しで日の出の時刻に差し掛かる・・・ということで、7デッキのオープンデッキに出て大海原を楽しむことにしました。
右手には淡路島が見えます。
07:00頃 明石海峡大橋通過
暫くすると、前方に明石海峡大橋が見えてきます。
明石海峡大橋は、兵庫県神戸市垂水区と淡路市岩屋とを結ぶ明石海峡を横断して架けられた吊橋。
全長3,911m、中央支間1,991mは日本最長の吊橋であると同時に、世界第2位の長さを誇る吊橋でもあります。
明石海峡大橋の開通で、関西~四国間のアクセスが大幅に改善され、交通量も本四架橋の橋の中では最も多いとか。
四国と近畿、更には本州の各大都市間を結ぶ交通の要衝となっています。
いよいよ、明石海峡大橋の下をくぐります。
明石海峡大橋をくぐると、神戸港到着まであと少し。
部屋に戻ります。
07時20分頃 朝食
朝食は、前日に売店で予約したスープセットで済ませます。
焼きたてパン2個とスープがセットになっており、私はメロンパンとフレンチトースト、パンプキンスープを選択。
サクサクとしたメロンパンの歯ごたえとパンプキンスープの美味しさがもの凄く気に入りました。
リピーターになりそうなこのセット、次回乗船時も恐らく注文することでしょう。
08時30分 神戸港(六甲アイランド)到着
朝食後、洗顔と身支度を済ませたところで、神戸港入港直前までフォワードサロンにて過ごすことにしました。
フォワードサロンは6デッキにあります。
エントランスと同様、木目調のシックな内装が特徴です。
フォワードサロンからは、この様な景色が楽しめます。
まもなく、六甲アイランドにある神戸港に入港します。
阪神高速の東神戸大橋が見えてきました。
阪九フェリーのフェリーターミナルの隣は、商船三井さんふらわあ大分~神戸航路のフェリーターミナル。
大分からの「さんふらわあ ぱーる」が停泊していました。
08時30分、神戸港(六甲アイランド)に到着。
あっという間に感じた12時間30分の船旅でございました。
フェリーターミナルからは、神戸フェリーバスがアイランド北口駅・阪神電鉄御影駅・JR住吉駅経由阪急御影駅行きの連絡バスを運行しています。
この後、私はバスで阪神電鉄御影駅へ移動し、阪神電鉄御影駅から阪神電鉄本線で大阪市内へ向かったのでありました。
最後に
以上、阪九フェリー「やまと」乗船の模様をご紹介しました。
7年前、「いずみ」に乗船した時にも感じましたが、船内設備といいサービスといい、(良い意味で)「やまと」もSHKラインらしい船舶だなぁ・・・というのが率直な感想でした。
同じSHKライングループの新日本海フェリー「らべんだあ」「あざれあ」や東京九州フェリー「はまゆう」「それいゆ」と同様、昨今の利用客のニーズを色濃く反映した造りになっていますが、個人的に好印象だったのは、共有スペースの広さをしっかりと確保していることでした。
ここ10年来にデビューした大型カーフェリー(とりわけグループの新日本海フェリーの船舶)を見てみると、共有スペースを縮小する傾向にありますが、阪九フェリー『やまと』は広々としたロビーを維持しており、開放感が違います。
長時間の船旅、個室やベッドで過ごすも、時として気分転換はしたいもの。
今回乗船した「やまと」においては特に問題を感じることもなく、のんびりと共有スペースで気分転換することが出来ました。
そして、露天風呂が付いた大浴場については、「らべんだあ」「あざれあ」の大浴場と多少構造が似ていますが、ストレスなくのんびりと湯に浸かることができました。
新しい船舶ということもありますが、脱衣のスペースも広くとられているのも好印象でした。
レストランも、SHKライングループでは定番のカフェテリア方式であるものの、品揃えが豊富で価格も(フェリーにしては)良心的であるものポイントが高いといえましょう。
聞くところによると、今回ご紹介した「やまと」と僚船「せっつ」では、内装の雰囲気が異なるとか。
「せっつ」では、シンプルで明るい雰囲気の内装が特徴とのことですが、両方の船舶を乗り比べて評価してみるのも面白いかもしれません。
就航から5年が経過した阪九フェリーの「やまと」と僚船「せっつ」。
個室で乗るのであれば間違いなく快適なフェリーです。
ここ1~2年来、関西~九州間の移動が新幹線かフェリーの二択になりつつある筆者ですが、また乗船してみたいと思われるフェリーに出会えた気がした、今回の阪九フェリー「やまと」の乗船でございました。


